今話題の猫写真家はおっとり青年でした‐『ぶさにゃん』カメラマン沖昌之さん<前篇>

今話題の猫写真家はおっとり青年でした‐『ぶさにゃん』カメラマン沖昌之さん<前篇>

今月も29日=29cutecatの日がやってまいりました! 今回のねこ好き著名人インタビューは、今話題の写真家、沖昌之さん。
先日発売されたばかりの写真集『ぶさにゃん』の生みの親です。

第一弾インタビューのお相手は、「東京クラフトビールマニア」の代表ねるねるさん。
ノマドビールマニアと添い寝待ちをするねこ-東京クラフトビールマニア代表ねるねるさん

第二弾インタビューのお相手は、「mon Lily(モンリリィ)」デザイナー東野里紗さん。
キュートなアパレルデザイナーと甘え上手な2匹のねこ-「mon Lily」デザイナー東野里紗さん

『ぶさにゃん』出版記念写真展に潜入
今回、インタビューの場所に選ばせていただいたのは、ちょうど開催中だった(現在は残念ながら終了しています)写真展イベントを行っていた傅吉商店というおしゃれなカフェ(@北千住)。
傅吉商店
(沖さん撮影)
伺ったのが日曜の夕方ということもあってか、沖さんの姿はすぐに見つけられたのですが、ファンの方が多くいらっしゃっていて、なかなかご挨拶ができないほどの人気ぶり。
お忙しい中お時間とっていただいて本当に感謝です。
入口
インタビューは夜行ったため沖さんから頂戴した昼間の傅吉商店風景。

入り口から早速ねこちゃんの写真が!
とても気さくでお話ししやすい方だったので、すっかりその人の良さに甘えて長々しゃべってしまい、お店の方にはお騒がせしてしまったかと思います…。
とても雰囲気のあるおしゃれなカフェだったので、また今度おいしいコーヒーをいただきに伺いたいです!
今をときめくカメラマン、元々はアパレル出身
下町のねこちゃんを撮影し、それをコツコツ毎日Instagramに上げ続けた結果、大手出版社の新潮社さんからお声がかかり、写真集『ぶさにゃん』の発売にいたったという沖さん。
今では、日本のみならずさまざまなメディアで取り上げられ(私が購入した本屋さんでも「今話題のねこ本!」コーナーのセンターを陣取っていました)着々と知名度を上げていっていますが、実は元々ねこちゃんの写真を撮り始めたのは趣味で、本業はアパレル業だったのだそう。

どこにでもある商店街の服屋さんといったイメージで気楽に入社したはずが、実際はライフスタイルを提案にしたハイセンスなお店で。
しかも、配送業務がメインだったはずなのに、いつの間にやら社長の「ブログやろうよ」の一声で、お客さまや社長をモデルにした人物撮影やらお洋服のかわいさやディテールを意識した物撮りなどカメラに携わる業務が増えていきました。

さらには「おしゃれなお店や空間、綺麗な風景もブログに紹介をしましょうよ」となっていき、いつの間にやらカメラが手放せない人生になっていました。

-最初からカメラマンとして入ったわけではなかったんですね。
それにしても社長はエネルギッシュな方だったんですね。

だと思います。
どっちかというと、僕はあまりエネルギッシュではなく、むしろ否定的なところから何事もスタートしていたので「それじゃだめだよねー」と何度も叱られ、最初はいやいやでした(笑)。

すごくセンスがいいといわれている人であっても、毎日進化することを意識して継続することによって結果が生まれるところを何度も見て一緒に経験できたので、「継続がなによりも大事なんだ」ということを社長から学びました。
…それが、僕はねこだったって感じですかね。

ぶさにゃん写真集とパネル
(沖さん撮影)
-なるほど。
独立されたのは今年ですよね?この本がきっかけだったんですか?

まったく違います(笑)。
次の行き先も考えず、ふと辞めてしまったダメ人間です(笑)。
にもかかわらず、そのお店のお客さまには、「次に行く道が決まったから辞めたのね、がんばって!」とエールをもらいましたが、「いや、なにも決まってないんですが…」と申し訳ない日が続いてました。

でも自由になった時間でこれまでできてなかったねこのブログを書こうと思い立ち、さらには『飛び猫』で有名な五十嵐さんが主宰する写真展「ねこ専」に参加させてもらい、運よく6月に新潮社の方から声をかけていただいて。

-なるほど。
じゃあほんとに継続した結果、身を結んだって感じですね。

…な感じですかね、はい。

ねこ愛が継続性を生んだ
-元々ねこはお好きだったんですか?

はい。
すきでした。
これまで一度もねこを飼ったこともなく、母親から「ねこのここがかわいい!」っていう話は聞いていましたので、勝手にねこラブな妄想をしてました。

で、小学生のときに、母親の実家の飼いねこに出会い、心のままに愛ですぎて、めっちゃひっかかれて痛い思いをしまして、で、そこから怖くて距離をあけだしたんですよ。
かわいいけど近づいたらひっかかれて痛い、みたいな。

-あー、ねこ好きあるあるですね。

はい。
で、そこから若干こじれてねこストーカーのようになりました(笑)。
外出先、ねこを見かけると愛しいあまりに追いかけて逃げられる、みたいな。
って感じで過ごしてたのですが。
2年前の仕事の休憩時間中に偶然「ぶさにゃん先輩。」(最後に「。」がつくのが名づけ親である沖さんによる正式名称。
普段からなにかを書く際に「。」で止めるのがかわいくて癖になっているのだそう)に出会って…。

ぶさにゃん先輩。
写真展でももちろん展示されていた「ぶさにゃん先輩。」
落ち葉を布団に健やかに眠る1コマは、写真集の中でも拝見することができます。
-この子ですよね。
ほんとかわいい!

本当にかわいいですよね! 最初に見たときに、「え!?」って。
なんで外にこんな高そうな子がいるんだろう。
しかも太ってるし、寝てばかりだし、目は細めだし。
もう気になることがいっぱいありすぎて、で、翌日の休憩時間に、カメラを持って、ぶさにゃん先輩。を撮りに行こうと思ったところがねこ撮影ライフのスタート…。
それで撮りだすと、ひっかかれて怖かったっていうトラウマも、徐々に払拭されて、でも無意識にねこが不快にならない適度な距離感を心掛けていました。

警戒心の強いノラ猫ちゃんにとってはその距離感がほどよくて、こんなにもいいお写真が生みだされるのかもしれません。
写真展で見られた作品
(沖さん撮影)
「ねこを撮る」というライフワーク
-「下町」というのが今回の写真集の一つのキーワードになっているように感じますが、ねこを撮るきっかけになった「ぶさにゃん先輩。」以外の子たちも職場の近くの子たちなんですか?

(アパレル時代は)朝の8時~9時くらいに出社で、帰宅は(夜の)12時くらいでした。
休日も疲れていたので、ゆっくりしたいと思っていたので、遠出も辛く職場近辺で撮っていました。
休日にその週の分のInstagramに掲載する写真を撮りだめていましたが、雨が降ってしまって撮影できない週があれば、会社行くまでに出会ったら撮るとか、ねこを探しながら寄り道をして家路についたりしていました。
(下町に)こだわりというよりは、(それで)職場周辺になっちゃったみたいな。

「なっちゃった」という言い方がなんとも謙虚で人柄が表れていますが、実際は、なじみのあるところだからこそねこちゃんとの関係性も築け、撮れた写真があるのだと思います。
-ねこのお写真を撮るきっかけになった「ぶさにゃん先輩。」とのストーリーも写真集『ぶさにゃん』に掲載されていて、あまり詳細は明かせないですが、最後は寂しいものの素適だなぁと思いました。

そうですね。
寂しいですけどね。
ほんといつも同じ場所にいたので。
突然ぽっといなくなってしまったのが、今年、参加したねこ写真展の2日・3日前くらいでして、写真展中ずっとそわそわ。
「写真展どころじゃないよなぁ」とか内心思ったときも実はあって(笑)。
居ても立ってもいられず、展示場にいるときに友だちに「見てきてよ」ってメールで頼んだら「いない」っていう返事がきたときは気が気でなかったです。

その後、もらわれたっていう話を聞くことができてホッとしました。
元々、家ねこだったのかな、雨の日や寒い日の翌日は鼻水が出てたり風邪ひいてたりと環境に影響されやすい子だったから、なので梅雨になる前にもらわれてよかったなって。
長生きしてほしいです。

-お写真見る限りだと、結構大人のねこちゃんみたいですしね。
入口のぶさにゃん先輩。パネル
沖さん撮影の写真展入口にあったぶさにゃん先輩。のパネル。

そうですね。
年齢はわかんないけど、お年はめされてる気がします。
年をとるとどんどんもらい手がなくなるのに、かわいい子が(ほかにも)いるにもかかわらず、もらわれていくって流石先輩だなって。

-でもそれを教えてくれる方がいたってことは、もう本当に毎週撮影をしていて、ご近所の方にも知られてたんですね。

そうですね。
必ず毎週の休日は10時・11時くらいから夏だったら(夜の)6時・7時くらいまでずっと撮っていました。
特にぶさにゃん先輩。をメインに撮っていたので、そんなことを毎週していたら、周りの人はいつの間にやらぼくのことを覚えますよね、こんな鬚面のおっさんが一日中ねこ撮ってたら…(笑)。

(それでも)1日で約500枚くらい撮ったとしても、選別すると使える写真は1/10くらいに減りました。
勤めていたときはそのストック写真で毎日Instagramに2枚・3枚写真を上げて、さらに、自分の中のルールで「1000いいねがついたらありがとうの気持ちを込めて写真を上げよう」と決めていたので、人気がある写真だと1000いいねがあっという間のときもあり、撮りだめた写真がなくなってしまい、うれしい悲鳴なときもありました

ストック写真が減ってきたら家路に着くまでの間に、少し寄り道してねこを探し回ることもあり、大体(夜の)12時には家着いてるはずが、がんばりすぎて1時(になっていた)みたいな。
疲れていてもみんなが僕の写真で楽しんでくれるのがうれしいので。

-でも夜中にねこっているんですね。

はい、そうですね、注意してみると実は結構いますよ、夏場とかだと(夜中の)2時・3時とか。
12時くらいだと人通りがあるので(むしろ)2時・3時くらいになると道路の真ん中で涼んでたりしていて、「思いきるねー!」なんて言いながら撮っていたりします(笑)。

インタビュー:29cutecat管理人 写真:サムネイルほか沖さんご提供、一部西田タニシ氏&29cutecat管理人撮影、そのほか沖さんのブログ野良ねこちゃんねる。
猫写真家・沖 昌之のブログ
、沖さんのInstagramokirakuokiより拝借

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