編集・校正の老舗企業であふれる猫愛に触れる!-株式会社ぷれすのみなさま<後篇>
老舗編集・校正プロダクションの株式会社ぷれす 奥村侑生市代表取締役社長、miniさんこと武田晶さん、内田桂子さんへのロングインタビュー後篇。
その猫愛&今後の展望をさらに深掘りしてしていきます。
-「シマバラさん」の名前は、どうつけられたのですか?
武田さん:しまねこだから、という理由で「ハラシマさん」と「シマバラさん」と、どっちにしようか悩んだんですけど、たまに暴れてるときに「島原の乱」とかって書きやすいな、と思って(笑)。
-なるほど!それおもしろいですね(笑)。
内田さん:私がネーミングで気に入ってるのは、あの、双子の…。
武田さん:右近、左近?
内田さん:右近、左近もいいんですけど、シュラネっことマリネっこ?
-ねこの双子って見分けるの大変そう…。
内田さん:双子かどうかはわかんないんですけど、いつもわりとくっついていて。
武田さん:兄弟か親子かわかんないんですけどね。
全体的に白ベースがマリネっこちゃんで、黒ベースがシュラネっこさん。
シュラネっこさんはなかなか撮らせてくれないんですよね。
武田さん:萩尾望都さんの『半神』っていう、結合双生児の話があって、野田秀樹さんが舞台化もしているんですけど、姉がシュラで妹がマリアって名前で。
それでマリとシュラっていうのを使いたくて、マリネっことシュラネっこなんです。
価格:606円 |
内田さん:物語を感じさせるような名前ですよね。
武田さん:でもTwitterでわかりやすいように適当に名づけているので、みんな結構いろんな名前で呼ばれたりしています。
前もって名前を知っていたのはさくらちゃんだけですね。
-さくらちゃんは武田さんが名づけた名前じゃないんですね。
武田さん:そうですね、さくらちゃんは元々飼い猫で、たぶん飼育放棄みたいな感じで野良猫になっちゃったみたいで…。
-やっぱりいるんですね、そういう子たち。さすが女王様だわ。by mini #猫 #のら猫 #cat #さくらちゃん https://t.co/SawRsAo40T pic.twitter.com/ooQ1Rwd3bU
— 今日の猫。ー 外猫写真で呟きます ー (@kyonoSatoru) 2016年6月28日
武田さん:近くの野良猫はほとんどそうみたいですね。
さくらちゃんって名前は、近くの人が話しているのを聞いて知りました。
今はしてないんですけど、初めて見たときはピンクの首輪をしてて、「さくら」だからピンクなのかなって。
緑の首輪をしてた子もいて、緑だからぐりさんって呼んでるんですけど、たぶんさくらちゃんと同じ家で飼われてたんじゃないかなーと思うんですよね。
ぐりさんのびぼうが伝わるかなぁ? by mini #猫 #のら猫 #cat #ぐりさん https://t.co/yaHvN7ABNf pic.twitter.com/bTYVm9hqED
— 今日の猫。ー 外猫写真で呟きます ー (@kyonoSatoru) 2016年3月4日
武田さん:今こうしてTwitterを続けているのも、意外とこれだけ外にねこがいるんだよっていうのをお伝えしたくて。
まぁ外に出た飼い猫を撮ることもあるんですけど、ほとんどがこういう、のらっこだったり地域猫だったりするので。
-こうして見ていると本当にいっぱいいますよね。
武田さん:今保護活動だったり、できるだけ中で飼おうとする活動が多いですけど、外にいてねこが全くいなくなるのも寂しいっていう気持ちがあったり(笑)。
やっぱり街中でこうして出会えるとうれしいじゃないですか、全然近寄ったり触れたりできなくても、横を通ったりしただけで「お」と思ったりするので。
-うんうん、わかります!
武田さん:この辺の子たちもほとんど(去勢、避妊)手術しているので、増えませんし、絶対数は減っているんですよ。
何年か前は子猫もよく見かけたんですけど、ここ最近は全然見かけなくなって。
地域猫に対する活動としては、そうやって増えないようにしていくのは正しいんですよね。
正しいんですけど、でも個人的には寂しいなって思います。
あと、逃げちゃう子もいるし、うっかり増えちゃうこともあるだろうと思うので、絶対にいなくなるということはないと思うんです。
なので、上手く共生したい…っていうのがあって、こんなにかわいい子たちが、みなさんが住んでいる同じ地平線上にいるので、なんかこう…「ねこかわいい」っていう気持ちを広めたいというか。
そういえば、私があまりに「ねこねこ」言うもんだから、たいしてねこ好きじゃなかった犬派の友だちが、最近街中でねこを見かけると意識するようになったって言っていて(笑)。
武田さん:犬好きだった友だちの中にも、私がTwitterにねこの写真上げるのを楽しんでくれてる人がいたりして、そういうふうに、ねこに対する興味をちょっとでもプラスの方向にしたいなと。
やっぱり「かわいい」と思ったら、そんなに無下にはできないじゃないですか。
まぁ、ただ自分がかわいいと思うからせっせと上げてるっていうのもあるんですけど(笑)。
-私も、外猫がいることによるご近所トラブルだったり、庭を荒らされたり、排泄物の問題とかいろいろあるのは知ってるんですけど、以前はよく見かけた場所でねこちゃんの姿が見えなくなるとやっぱり寂しさを感じてしまって、でもそういうのって私一人の力では正直どうにもできないし…とか思っていたんですけど、たしかに「かわいい」と思う気持ちって一番の解決策になるかもしれないですね。
奥村社長:社長:ねこのいない町って、どこか冷たいんです。
ずっとそう思ってるんですよね。
だからこの辺はいいところなんですよね。
武田さん:この辺は結構、外猫がいることに納得している人が多いので。
内田さん:家で飼ってても、外で見るねこって「別腹」ですしね(笑)。
武田さん:内田さんのところは3匹もいます。
内田さん:でも2匹までだなぁ、と思いますね(笑)。
前は4匹いて、1匹死んじゃって今3匹なんですけど。
これ以上はなるべく増やさないようにと思ってます(笑)。
-長い間飼われているんですか?
内田さん:今13歳…前後ですね。
-結構大人ですね!
でもねこっていつまでもかわいいから見た目じゃわかんないですよね。
武田さん:わかんないですね。
でも微妙に違いが…、うちのねこも若いときはもっとこう、きゅるんっとした目でかわいかったのに大分精悍な感じ…、おっさんな感じになってきました(笑)。
内田さん:あと運動量が変わりますね。
高い所に登らなくなる。
若いときはすごい登ってたのに、今はもう全然…。
武田さん:あと遊んでくれないですね(笑)。
たまーにじゃれさせようとしても、ちょっと食いつくけどすぐどっか行っちゃう(笑)。
奥村社長:うちなんてなんも反応しないよ(笑)。
-おいくつなんですか?
奥村社長:今いくつなんだろう、元野良の子なので…、たぶん8歳くらいかなと思うんですけど。
-この辺りで保護されたんですか?
奥村社長:いや、うちの近くで…。
うちに迷い込んできたねこで、いつの間にか入ってきたんです。
-え?入ってきたんですか?
奥村社長:「えっお前どこから来たんだ?」みたいな、そういう。
-え?ちょっとどういうことですか(笑)?
武田さん:ねこは自分で住むところを決めるんですよ(笑)。
-たしかにちょっとした隙にねこがどこからか入り込んでたとか、そういう話聞いたことありますけど…すごい…なんていうかわいいエピソード…。奥村社長:話によると、近くの公園にいた子みたいなんですけど。
武田さん:完全に「飼ってください」みたいな(笑)。
押しかけねこ(笑)。
奥村社長:窓開けてたら入ってきてて、「あれ?お前なにしてんだ?」って(笑)。
うちは過去に2匹飼っていて、1匹は動物病院で保護していたのを引き取ったんですけど、赤ちゃんのときにすぐ病気で死んじゃって、もう1匹は地域の人が野良猫をお世話していて里親を探していたので引き取ったんですね。
それで2年くらいずっと部屋にいたんですけど、外が好きだったみたいで、ある日失踪して帰ってこなくなっちゃって。
それでもう悲しいから「ねこ飼うのよそうね」って言ってたんですけど。
武田さん:でも来ちゃったからしょうがないですよね(笑)。
奥村社長:うん、もう来ちゃったから(笑)。
それで、そのままいます。
武田さん:自慢したい!うちの子の若いころ!
-かわいい!シュッとしてる。武田さん:うちの近所で自転車漕いでたら、この子がふらふらっと歩いてたんです。
それで「かわいいねー、なにしてるのー?」って話してたらぐるぐる回ってきて、通りすがりの人が「1,2か月前からこの辺にいるから迷子か捨て子じゃないか」って言うので、一度保護して飼い主さん探してたんですけど。
うっかり逃げたなら飼い主さんを見つけてあげたいと思ったんですけど、1か月くらいしても見つからなくて、「じゃあもうお前はうちの子だ!」って。連れてきちゃった。
-それが仁太くんとの出会いですね。
武田さん:彩女さんは、前からよく写真撮りに行ったりして冷やかしてたねこがいたんですけど、そのねこの子どもで。
たまたまそこに行って、ねこいるなーと思ってたら…作り始めまして…(笑)。
だから出生のときから知ってるんです。
-それはすごいですね!
武田さん:えーと、親は何月号に載ってるんだったかな。
内田さん:8月かな、9月?
奥村社長:どの写真?
武田さん:あの、跳びかかってるやつ。
奥村社長:あー、あれね。
-すごい。みなさん3人とも、写真一枚一枚を把握されてるんですね。武田さん:そうなんです。私一人じゃ選べなかったりするので、どの写真を載せるか選んでもらったりして。
…あ、あった!この跳びかかってる写真、これが彩女さんの親なんです。
武田さん:この写真じゃわからないですけど、すごい美形のねこで、そのくせしょっちゅう子ども生んではそのままにしちゃって。
それで彩女さんも1か月くらいだったかな、育児放棄されちゃって、お母さんに近寄るとシャーッって怒られちゃったりして、世話してもらえなくて一匹でここで生きてて…。
-なんと無責任なお母さん…。
でもその環境でたくましく育ったんですね。
武田さん:うーん、しばらく様子見てたんですけど、お腹の毛とか抜けてきちゃって不憫になってきて「じゃあ来るか?」って言ってうちに連れて来ちゃったんです。
-すごい…。ドキュメンタリーですね。
武田さん:…あ、この写真、さっきの彩女さんの親の写真です。
直前か直後か忘れちゃいましたけど、さっきのと同じタイミングです。
武田さん:ねこなので(笑)。
それで、この子が育児放棄された子猫たちの育ての親になってくれる、すごい優しい子で。
もういなくなっちゃったんですけど。
この写真のときはほんとその直前で、ねこって死ぬ直前になるとまた少し若返るんですよ、なのでそれまでよりもちょっと元気になったときの写真ですね。
なんだか本当に一匹一匹に対する思い入れが伝わってきます。
武田さん:もう怨念のような思いがねこたちに対して詰まってますのでね(笑)。
武田さん:そうなんです。
それで、そういうのを見てほしくて電子書籍を作ってたんですけど、やっぱり紙もやりたいよねって話をしていて。
奥村社長:一昨年くらいに出版する話を進めていたんですけど、途中で物別れになってしまって。
というのも、実はその出版してくれる企業の方から「こういう写真もいいんだけど、かわいいねこを入れてほしい」と言われて、こっちとしては十分かわいい写真だと思っているので…。
-なるほど、アイドル猫を入れてほしいってことですね。
奥村社長:こういう、野良猫を載せるっていうのが今回の出版の主旨だから、その意見は受け入れられませんってことで断っちゃったんです。
それで今、企画が宙ぶらりんなんです。
武田さん:そうなんです。
でも載せる写真も決めて、ライターさんにお話も書いてもらっているので…。
内田さん:テキストはこのときのために作ったものなので、イメージに合わせて変更してもいいかなとは思うんですけど…、でも禅の言葉とかも決めているので…。
奥村社長:そうそう、禅語と意訳と、それに合わせて物語も作ってもらって…。
-中国語かと思っちゃいました。なるほど…充分かわいいんですけどね。
武田さん:でしょ(笑)!?
なんとかそれを形にするのが、今やっているねこコンテンツの目標なんですよね。
折角ここまでやったので、なんとか…。
あと実は書籍化したらグッズも出したい!とか思ってそういう企画も考えたりしていて…。
このときは『禅猫禅語(ぜんにゃんぜんご)』っていうタイトルにするつもりだったので、そのロゴをタグに入れてみたり…。
内田さん:禅の英訳を入れたりして「外国の方へのプレゼントにおすすめ!」とかっていう言い方とかね、いろいろ考えていたんですけど…。
武田さん:禅と組み合わせるっていうのも、写真集というよりビジネス本、自己啓発本のような位置づけで出したらいいんじゃないかとか、ねこの本というと女性向けが多いですけど、男性に読んでもらえるような本もいいなぁとか、いろいろ考えたんです。
-ねこ好きの男性も結構いますもんね。
武田さん:そうですよね。
前に、道を歩いてたら、ねこがいたので撮ろうかなと思っていたら、前を歩いてたおじさんが急に高い声で「にゃーん!」とかねこに話し出して。
「にゃにゃにゃにゃにゃー!」って(笑)。
結構そういうことあるので。
書籍化したら、ぜひそういうお父さんに手に取ってほしいですね。
武田さん:そうですね。
今「猫ブーム」だなんてよくいわれてますけど、ねこ好きにしてみればいつだってブームなので、長く愛されるような作品を作りたいですね。
最後の武田さんのお言葉は、「生まれたときから猫ブーム」を豪語する私にはかなり共感するところがあったのですが、長い間個人的に「ねこだまり」を訪れ、ねこ1匹1匹の生き死にを見つめながら、お写真を撮り続けるその気持ちの強さには、「ブーム」なんて生半可な言葉ではなく、もっと重みのある言葉が似合うと思いました。
そして、その気持ちを重んじ、会社内の一コンテンツとして発信する場所を作ることで、ねこと触れ合える環境をさらに高めている奥村社長や内田さん、社内の方々のサポートも素敵です。
「ねこは自分の居場所を自分で選ぶ」といった言葉が取材中にも出てきましたが、武田さんの写真に写るねこちゃんはいつも、撮影を嫌がるわけでも、特別興味を抱くようでもなく、自然体の表情を見せてくれています。
それはたぶん、その場所がそのねこにとっての居場所であり、また、武田さんはその場所に入ってきても安心できる人として認識されているからでしょう。
実は取材当日、道に迷って遅刻してしまったのですが、まったく気にした様子もなくドアの前に3名並んでお出迎えしてくれた笑顔を思い出すと、多くのねこが自分の棲み処としてその地域を選ぶのもわかるような気がしました。
近々、書店で、武田さんの撮ったねこの書籍を見かけることを楽しみにしています。
そしてたくさんの人の心に「ねこかわいい」というブームが起きればいいな、と思います。
実は、武田さんに案内していただいて、よくねこちゃんを撮っているという場所に連れて行ってもらいました!
ねこちゃんは気まぐれなので、正直訪れたときにいるかいないかわからないと話していたのですが、シマバラさんが待ち構えるかのように鎮座していました。
ただ、私が近づくとやはり警戒されてしまって、なかなか触れられず(なんとか最後に、武田さんがなでている後ろからこっそり触ることができました)いつも武田さんがつぶやいている株式会社ぷれすのTwitterで見られるような表情は撮ることができません。
とはいえ、部外者が2名(私とカメラマン)いても武田さんにはべったりな様子で、ばっちりいつもの密着ショットを撮影されていました。
この日に武田さんがUPしていたTweetはこちら。
インタビュー記事は6/29に29cutecatさまのサイトhttps://t.co/HKNFLVXbz1で公開される予定です。また近くなったらお知らせさせて頂きます!明日もいい日でありますように。それでは皆様また明日!by mini pic.twitter.com/2mNNVXnRR8
— 今日の猫。ー 外猫写真で呟きます ー (@kyonoSatoru) 2016年5月25日
やはり密着して写真を撮るのは無理でしたが、だれにも会えないかもしれない中、シマバラさんだけが待ってくれていて(表現には個人の主観が含まれている可能性があります)その背中に触れることもできたので充分満足です!
また行きたくなるような、ねこにも人間にも居心地のよい街でした!
インタビュー/文:29cutecat管理人
取材写真:堀広明氏
(記事内一部猫写真:武田晶さんご提供)
取材先:株式会社ぷれす
関連サイト:今日、猫に会えたら、Twitter(@kyonoSatoru)、Instagram(kyou_no_neko)
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