クリエイターとプロデューサーの二足のわらじ-『煉と虎徹』ネコグラファー前田悟志さん<前篇>

クリエイターとプロデューサーの二足のわらじ-『煉と虎徹』ネコグラファー前田悟志さん<前篇>

「ネコグラファー」という言葉を聞いたことはありますか?
その名のとおり、ねこちゃん専門のフォトグラファーさんであり、実は会社の名前でもあります。

とはいえ企業として起ち上がったのは先月、2016年3月。
実はその背景には、クリエイターでありながらプロモーションにまで視野が広げられる、前田悟志さんの大きな野望がありました。

前田悟志さんとは、ビジュアル系バンドTHE BLACK SWANのドラマー煉さんと、彼が保護した子猫 虎徹くんの異色コンビの写真集を撮影された方です。

今回の29cutecatの日は、その前田さんにお話を伺ってきました!

OSLO COFFEE
今回は五反田駅からすぐのOSLO COFFEEさんで取材させていただきました!
「前田さんちの猫事情。」
小梅ちゃん
前田さんのTumblr「前田さんちの 猫事情。」より拝借した小梅ちゃんのうとうと姿。
‐じゃあまず、ねこはお好きですか?

前田さん:そうですね。でもすきになったのは実は昔からっていうわけじゃなくて、7年前くらいからですね。

‐なにかきっかけがあったんですか?

前田さん:まぁねこを保護したっていうか、引き取ったっていうのが(きっかけ)…。
その前までは実は全然…。あんまり動物自体に興味がなかったですね。

‐それは意外です!どういうきっかけで引き取ることになったんですか?

前田さん:まぁちょっと心の病気にかかってしまって、当時会社員だったんですけど、まぁそれで会社をお休みしているときに、ずっと家に一人でいても「ずーん」って暗くなっちゃうんで、それでまぁねこでも引き取って世話したら元気になるかなって。
時間もあったので、それで困っている子を引き取ろうと思ったのがきっかけですね。

‐ペットショップで買うのではなく、引き取ろうと思ったんですね。

前田さん:そうですね、ちょうど里親募集が出てたので、それに応募した感じですね。

‐なるほど、タイミングが合ったんですね。

前田さん:そうですね、それから一年ごとに増やして、今は3匹飼っています。

‐すごい!かつては動物に興味がなかった人がすっかり。

前田さん:そうですね(笑)。
それでちょうど3匹目の子は、東日本大震災のときに福島で被災した子を引き取ったので今では…5歳か…、もうすぐ5歳くらいなんですけど。
7歳・6歳・5歳の3匹です。

‐そうか、もう5年経つんですね…。
みんななにねこですか?


前田さん:えっと、みんな雑種で、キジトラ・三毛猫・キジトラです。

‐このカメラについているのは…。
カメラ
こちらが前田さんのカメラ。
なんと今回の取材撮影にお貸しくださいました!
(この写真は管理人のiPhone撮影です)

前田さん:あ、一番下の子です。ふくちゃんっていうんですけど。
福島から来たので。

‐あ、なるほど。ほかのねこちゃんのお名前はなんですか?

前田さん:えっと、一番上の子がonちゃん、真ん中が三毛猫の小梅ちゃんです。みんなメスです。

http://nekojijyo.tumblr.com/post/112359380416/仲良し姉妹-onちゃんとふくちゃん
‐「onちゃん」ってお名前の由来はなんですか?

前田さん:僕、「水曜どうでしょう」がすきで…。

‐やっぱりそうでしたか!私もすきなので今それしか思い浮かばなかったんです。

前田さん:あ、よかったよかった、それです(笑)。
その前に嫁さんが飼ってたハムスターの名前が「ミスター」だったんですよね。

‐じゃあ奥さんもお好きなんですね。

前田さん:そうですね。で、友だちの家にいる「藤村」っていうハムスターがいます(笑)。

‐(笑)!前田さん界隈で流行っているんですね。
前職は会社員
金髪が目立つ前田さん
金髪がお似合いの前田さん。
Tシャツはもちろん猫プリント(IZZAO's WORKSさんのものだそう)です。
‐「水曜どうでしょう」がお好きという話もありましたが、ご出身はどちらなんですか?

前田さん:長崎の方で生まれて、それで大学から会社を興したんですけど、その会社が福岡にあって、で、その会社の東京支店ができて、東京に9年前かな…に越してきた感じですね。

‐じゃあねこを飼われたタイミングっていうのは、その会社にいたときですか?

前田さん:そうです、そうです。それで、この仕事(ネコグラファー)専業になったのは2年前くらいですね。
それまでは会社員と二足のわらじでやっていた感じです。

‐そうなんですね。ちなみに差し支えなかったらでいいんですけど、どういったお仕事をされていたんですか?

前田さん:携帯のサイトを作ってて、ディズニーのデコメサイトとか、それのプロデュースをやっていました。

‐それは毎日忙しそうですね。でも以前からクリエイティブなお仕事をされていたんですね。

前田さん:そうですね、色々、プログラム書いたりとか営業したりとかもしたんですけど。
やっぱり常になんかこう…、ネタを考えるというか…、そういう仕事が多かったですね。
なので正直、この本(『煉と虎徹』)も写真撮るよりプロモーションの方が得意だった感じがしますね(笑)。

クリエイターでありながらプロモーター活動も
煉と虎徹
絶賛販売中の『煉と虎徹』の一部をちら見せ!
‐今回、『煉と虎徹』写真集が発行されてから写真展が行われるまでとても早いですよね?

前田さん:そうですね。写真集を出して落ち着いてからもう一度宣伝…って感じが多いと思うんですけど、僕の場合は、発売が本当は(3月)30日くらいを予定していて、それからすぐやりたいと計画していたので。

‐実際は発売日も早まりましたよね。

前田さん:はい。ちょっと予約が多すぎて繰り上げになっちゃったんですよ。
それで19日発売になったのでずれてしまったんですけど、本当は発売と同時にやるつもりだったんです。

‐すごい。そんな計画だったんですね。

前田さん:ですね。大体CDのアーティストさん、音楽関係ってアルバムを出したらすぐツアー開催するじゃないですか?
それと同じことしたかったんですよね。

‐なるほど、新しいですね。
ということはこの「ネコグラファー株式会社」の方では、プロモーションとかも行っているんですか?
名刺
「どうしてもこの『前』の字が猫耳になっているのを載せたい」と言ったら「ペンで住所消していいですよ」と多めにお名刺をくださったので、ご厚意に甘えて黒ペン処理後、大公開。

前田さん:そうですね、やってますね。
まだ「これをやる」っていうのは決まってないんですけど、僕のマネジメントと、そういう写真展とかの企画をしたり、そういったことをやる会社、というところまでは決まっていて、あとはなにをやるかはわかんないですね(笑)。
まぁ最終的には保護猫カフェの運営とか…、そういうところまでしたいなぁとは思っています。

‐いいですね!行きたいです。

前田さん:うん。やっぱりね、「ねこで稼ぐからにはねこに還元しないと」ね。…というのは(心の中に)あって。

‐なるほど。
「ネコグラファー」という社名の由来とその方向性
横目
管理人の個人的に、今回の取材写真で一番のお気に入りショット。
ふとした瞬間だったんだと思うのですが、横目でコーヒーを飲む表情がなんだかお茶目です。
‐「ネコグラファー」というのは、会社を設立すると決定される前から使われていた名称なんですか?

前田さん:そうですね、1年、2年くらい前からですかね。

‐じゃあちょうど、撮り始めた時期からですね。

前田さん:うん、なんか「写真家」って自分から名乗るのがはずかしかったんですよ。
「フォトグラファー」もそうですけど…、「そこまで自分、写真上手じゃないしなー」って…。
じゃあ新しい造語作ろうって思ったときに、「あ、『ネコグラファー』っていい響きだなー」って。

‐たしかに。語呂もいいですしね。

前田さん:うん。それで、姓名判断してもらったら画数も良くて。
すぐにGoogleで検索もして、ほかに名乗ってる人いないかなって。
そしたら愛知の方に一人いて、「じゃあ一緒に商標とりませんか?」って聞いてみて、それで仲良しになって。

‐もしかして「煉と虎徹展」でご一緒に作品を展示されるIKUYOさんですか?

前田さん:はい。IKUYOさん。

IKUYOさん
この方がIKUYOさん。
(画像出典元:Facebook Le chat antique / Nekographer IKUYO)
‐そうなんですね、てっきり同じ会社の方なのかなって思っていました。
出会い方がおもしろいですね。


前田さん:おもしろいでしょ(笑)?

‐それにしても、やっぱりそういった事前調査をしっかりされるところは会社員時代の経験が活かされているという感じですね。

前田さん:そうですね。
それで、IKUYOさんにも会社に入ってもらいたいと思ってます。
いずれは保護猫カフェを作って、そこを会社の事務所にしようと思っているので、どんどん増やしていこうかなーと。
それで、ねこと一緒に働けるような会社を作って…。

‐それは…めちゃめちゃいいですねー…!!

前田さん:でしょ?それこそねこ関係のライターさんとか、ねこに関係のある人はみんな巻き込んで、一緒にやっていけたらなぁと。

‐ぜひ!ぜひ!参加したいですね、それは。おもしろそう。
でもなるほど、そういうプランなんですね。


前田さん:うん、そうですね。やっぱり会社じゃないとできないことってあると思うので、そういうときに「ネコグラファー株式会社」って名前をもし使ってもらえるんだったら、だれでも使ってもらっていいし、って、そんな感じですね。

‐てっきり写真も撮られていますし、ものづくりの方に特化して進展させていくのかなと思っていました。
「ものづくり」には変わりないですけど、クローズドではなくオープンな方向性なんですね。


前田さん:うん、そうですね。ベースはやっぱり写真を撮って、写真集にまとめて、写真展をやって…というのが基本にはなると思うんですけど、そこから広がるいろんなことは、まだ夢ですけど、でもやっていきたいなぁと思っています。

Twitterから始動したネコグラファーワーク
カフェでのひとコマ ‐写真は元々、ねこがきっかけで撮り始めたという感じなんですか?

前田さん:そうですね、でもカメラ自体はねこを飼う1年、2年くらい前から始めていて、でもねこを飼い始めると自宅の子を撮っちゃいますよね!
それで、ちょうどそのころにTwitterが流行りだしていたので、自分ちのねこを流し始めて、そしたらフォロワーが増えて、そんなこんなやっていたら写真を買い取りたいって人が出てきて、じゃあこれで食べていこうって思ったんですよね。
ちなみに最初のクライアントさんは、アメリカのTV局のNBCさん。

‐すごい!最初から大手ですね。

前田さん:報酬がドルなので、いろいろ大変でした。

‐Twitterって活躍の場が広がりますね。
今回のこのご取材もTwitterがきっかけですし。
以前取材に伺った株式会社ソノリテさんのねこ専務、ダイゴロウくんの記事紹介のTweetに、それより以前にダイゴロウくんの撮影をしていた前田さんが反応をしてくれたことで今回の取材に結びつきました)

前田さん:そうですね。実は煉さんともTwitterきっかけなんです。

‐そうなんですか!じゃあ元々ご存じだったわけじゃなかったんですね。

前田さん:ですね。「トコトン掘り下げ隊! 生き物にサンキュー!!」で初めて見て「あ、虎徹くん撮りたいなー」と思って。
それでTwitterで煉さんに「写真集も考えているので、ぜひ撮らせてください」ってメッセージを送って、それで撮らせてもらった感じですね。
だからこの本って、Twitterで始まってTwitterで完結したって感じなんですよね。
煉さんが最初に虎徹くんについて発信したのもTwitterでしたし、僕が投げかけたのもTwitterでしたし。

写真集『煉と虎徹』が形になるまで
『煉と虎徹』を見ながら ‐写真集『煉と虎徹』に掲載されているお写真は、いつごろ撮られたものなんですか?

前田さん:僕が撮ったのは…去年の11月かな。

‐大きくなるのがすごい速いですよね。

前田さん:その子すごい速いですね。
6ヶ月で4.2kgとかだから、めちゃめちゃでかいですよね。

‐かつては庭でにゃーにゃー鳴いて弱っていた子が、すくすく育ちましたね。

前田さん:ですね。たぶんファンのみなさんからいいものをもらって、すくすくと育ったんじゃないですかね。
実はこの本って、出版社さん2社くらい回って、最初は出版を断られたんですよね。
じゃあ作戦を変えようと思って、こっちから出させてくださいって言うんじゃなくて、向こうから出したいっていうふうになるのを待とうと思って。
それで僕が撮った虎徹くんをとにかくTwitterで流して、出版社の人に見てもらうって作戦に変えたんですよ。声かけてもらったのが河出さんで、こうして発売できた感じなんですよね。

‐本当に全部Twitterで形になったって感じですね。

前田さん:うん。もしかしたら河出さんに声かけてもらえなかったら、今出ていないかもしれないですもんね。

‐なるほど、今やこんなに話題になってるのに不思議ですね。
予約の段階で売り切れちゃったんですよね?


前田さん:そうですね、売り切れちゃって増刷されて…っていうのは、あんまりないことかなと。

‐そうですね、なかなか聞いたことないですね。

前田さん:さっきオリコンランキング見てたら、写真集部門で3位くらいに入っていました。

オリコンキャプチャ
取材当時の「オリコン週間 写真集ランキング」。
『煉と虎徹』は広瀬すずさんの写真集の次の3位にランクイン!
(後日ORICON STYLEのバックナンバーをスクリーンキャプチャした画像です)

前田さん:うん、すごいラインナップでしたよ。(アイドルの写真集に挟まれてランクイン)

‐たしかに(笑)。私も、発売開始されてから3,4日くらいに本屋に買いに行ったんですけど、既に「話題の本!」っていうポップで囲まれてましたよ。

前田さん:その辺りはある程度、出版社さんと煉さんと「Twitterではこういうふうにプロモーションしよう」とか、結構くっきり打ち合わせていたので、それが上手くはまった感じですね。

‐事前にみなさんで方向性を共有し合っていたから、ブレが生じることもなく上手くいったんですね。

前田さん:そうですね。だから「前田さん、本当にカメラマンですか?」って感じではあるんですけどね(笑)。
写真撮ってデータ渡してはい終わり!って感じではなく、その後の方が僕は盛り上がって楽しんでいるので。



インタビュー/文:29cutecat管理人
取材写真:KK氏
記事内引用画像出典元:前田さんちの 猫事情。Facebook Le chat antique / Nekographer IKUYO

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